エンタメ狂いが移るブログ

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さよなら新宿ミラノ座 ラストショー タワーリング・インフェルノ

2014年の最後に見た劇場映画は「タワーリング・インフェルノ」だ。1974年の公開当時大評判になった作品だ。ひとつには、20世紀fOXとワーナーブラザースという競合である映画会社が手を組んだ作品であること、もうひとつはその結果、製作費も莫大なものとなり、当時としては夢のような豪華なキャステイングが組めたことなどがある。公開当時、学生だった私も、その豪華なキャスティングに一見の価値ありと心躍らせた記憶がある。

 

タワーリング・インフェルノ [DVD]

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 スティーブ・マックイーンポール・ニューマン、フェイ・ダナウエイという当時油の乗り切ったスターに加え、ウイリアム・ホールデン、フレッド・アステアジェニファー・ジョーンズ、ロバート・ボーン、ロバート・ワーグナーリチャード・チェンバレンという豪華な出演者たちが、それぞれの役を熱演し、第1級のパニック映画となっている。2時間45分、絶えず災害による困難が待ち受けており、手に汗握るスリリングな展開は、単なるスター顔見世映画とは一線を画し、見事なエンターテインメント作品となっている。特にスティーブ・マックイーン演じる消防隊長オハランの八面六臂の活躍は胸を熱くさせる。寡黙だが行動力のあるオハランが次々と襲ってくる災害に立ち向かっていく姿は、感動的であり男の美学さえ感じた。思えば、「傷だらけの栄光」では、ポール・ニューマンの友達役として脇役に過ぎなかった彼が、遂にこの映画でポール・ニューマンと同格の主役のクレジットで出演ということになったわけで、彼にとっても感慨深いものがあったと思う。おそらく彼のような立ち位置のスターは二度と登場しないだろうし、この映画のようにグランドホテル形式ながら単なるスター顔見世映画とは一線を画すストーリーをもった豪華な映画も見られないのではないだろうか。そういう意味でもこの作品の存在価値は映画史に残るものがある。ラストシーンでオハラン隊長が「いつかは10000人を超える死者がでる事故があるだろう」と予言していたが、10数年後、9.11で全世界は高層ビルでの災害事故の恐怖を思い知ることになる。近代技術の無節操な進歩への警鐘という意味でもこの作品は時代を先取りしていたのだ。