エンタメ狂いが移るブログ

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芝居狂いが移るブログ V6森田剛「ブエノスアイレス午前零時」

 

ブエノスアイレス午前零時

ブエノスアイレス午前零時

 

 昨年、新国立劇場で見た「ブエノスアイレス午前零時」は、情感溢れた忘れがたい芝居だった。日本の最果ての旅館とブエノスアイレスの酒場が時空間を超えて交互にシンクロしながら物語が進行していく中で、実は、原田美枝子演じる老婆と滝本美織演じる少女が同一の女性であったことがわかり、彼女の存在に森田剛演じる主人公が関わっていく中で、自己を回復していく過程が、ドラマチックに描かれている。

 

演出の行定勲は、一流の映画監督でもあるが、舞台空間を映画的なセンスで切り取って描いており、魅せる芝居ともなっている。主役の森田剛が素晴らしい。「IZO」で、舞台での彼の素晴らしさは証明済みだが、今回の演技はさらに深みを増し、最後近くの場面でタンゴを踊る姿は、熱い情念を感じさせ、背筋に戦慄が走るほどだった。私個人として、嬉しかったのは、原田美枝子の存在だ。大学生の時に、彼女が主演した「大地の子守歌」の映画キャンペーンに大学に訪れた時に握手をしてもらって以来、30年以上ぶりに生の彼女を見ることができた。すっかり、風格を身に着けながらも、あの時と変わらない輝きを失っていないスターとしてのただずまいを見ることができ、胸が熱くなった。見応えのある素晴らしい舞台だった。