エンタメ狂いが移るブログ

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テレビ狂いが移るブログ 「山田孝之の東京都北区赤羽」

山田孝之は、真摯な俳優である。シリアスなものからコメディあるいはバイオレンスな作品まで幅広く自由自在に演じることが出来、、不思議な存在感を魅せるカメレオンのような俳優だ。一昨年の私のベスト映画は「凶悪」だったが、これも主演の山田孝之の好演に負うところが大きい。そんな山田孝之が、山下敦弘監督の時代劇映画に出演し、その役柄について思い悩み、山下監督と対話し、最終的に演じ切る境地に達せず、その映画が製作中止になったことから、この作品が始まる。ある日、山下監督のもとに、山田から「東京都北区赤羽」という漫画が送られてくる。山田と会った山下監督は、その真意を山田に問う。そこから、この作品のテーマが始まる。清野とおるが書いた「東京都北区赤羽」に惚れ込んだ山田が赤羽に住んで自分を改めて見つめ直そうという、その姿を撮影してくれと山下監督に依頼する。そこに描かれるものは、ドラマチックではないが、山田の行動と戸惑いながらもそれを追いかける山下監督、さらには漫画家の清野まで登場し、まるで劇場用のドキュメンタリー映画を見ているような錯覚に陥る。私には、かつて今村昌平が監督した傑作「人間蒸発」を想起させる不思議な魅力を感じた。ドキュメンタリーとは言いつつも、山田は俳優であり、カメラを意識した言動が裏にあるのではないかと疑いもある。そんな気持ちを持ちながら見ると、ついつい見続けてしまう妖しい魅力がこの作品にはある。第2話で山田の歓迎会で酔っ払った中年男性が、たかが漫画で感動したくらいで赤羽に住もうなんてなめている、という場面で終わる演出はドキッとさせられた。この作品、ただの山田孝之のための広報的番組ではない。山下監督は本気でドキュメンタリーを撮ってると感じた。結末はまだわからない。今後の展開が楽しみだ。テレビ東京金曜深夜の30分作品。お勧め!

 

東京都北区赤羽 1 (GAコミックススペシャル)

東京都北区赤羽 1 (GAコミックススペシャル)