映画狂いが移るブログ ニール・サイモン「グッバイ・ガール」

グッバイガール [DVD]

 「裸足で散歩」「おかしな二人」で脚光を浴びたニール・サイモンの油の乗り切った時代に描かれたハートウォーミングなラブコメディだ。この作品でオスカーに輝いたリチャード・ドレフィアスとこの作品がきっかけでニール・サイモン夫人になったマーシャー・メイスンの二人が俳優として、最も輝いていた瞬間が映像として映し出されており、最高に幸福な気持ちにさせられる映画だ。ニール・サイモンの舞台的な脚本をハーバート・ロス監督は、映画として見事に昇華させて、第1級の娯楽作品に仕立てあげてくれた。この作品の系譜を継ぐ作品は、ロブ・ライナー監督の「恋人たちの予感」の登場まで待つことになる。リチャード・ドレフィアスはこの当時最も力を発揮していた俳優でスティーヴン・スピルバーグ監督の「ジョーズ」「未知との遭遇」、ジョージ・ルーカス監督「アメリカン・グラフィティ」などの注目作品に立て続けに主演し、ついにこの映画で頂点をきわめた。しかし、この後、思いがけないスランプに陥り、「陽のあたる教室」などで好演していたが、今日に至るまで、この作品を超える代表作に出演していない。つくづく俳優とは、厳しい世界なのだと思う。