エンタメ狂いが移るブログ

このブログを読めば、映画、演劇、漫画、小説などなどエンターテインメントに強い興味がもてます!

読書狂いが移るブログ 又吉直樹「火花」

漫才コンビ ピースの又吉直樹が書いた直球の純文学作品である。売れない漫才師とその先輩をめぐる人間模様、心情の機微を淡々としながらも冷徹な視点で描いた秀作である。

 

本屋に平積みになっていたので、ベストセラーの部類に属する小説だと思うが、小説自体の完成度も素晴らしい。又吉直樹は読書好き芸人としても有名だが、その蓄積された文学性が、この小説では、見事に開花されていると思った。平易な文体の中に、人物描写、心理描写が巧みに描かれ、笑いと涙がほどよく溶け合っている。笑いのセンスはあるのに世間からは売れないで、お金にだらしない先輩が、何をとち狂ったか、笑いをとるために豊胸手術をしてしまうラストのほろ苦さは、秀逸!ページ数も150ページくらいと、読みやすく、いずれドラマか映画になると思う。もしかしたら、今年の賞候補にあがる作品かもしれない。是非、一読をお勧めする。読んで損はしない!

 

火花

火花