エンタメ狂いが移るブログ

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映画狂いが移るブログ アラン・ラッド「シェーン」

 

シェーン 日本語吹替版 アラン・ラッド ジーン・アーサー DDC-073N [DVD]

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 この映画の初見は中学生の時、渋谷パレス座という名画座で見た記憶がある。傷だらけのフィルムにもかかわらず、ブランドン・デ・ウイルデ演じる少年が「シェーン、カムバック」と叫ぶあの名場面に思いきり衝撃と感動を覚えた記憶がある。後年、リバイバル上映をロードショーで、再見し、美しきワイオミングの風景の中で、繰り広げられる素晴らしい西部劇だったことを再確認したものだ。「真昼の決闘」「黄色いリボン」「荒野の決闘」「荒野の七人」「大いなる西部」など、名作と言われる西部劇は、どれも音楽が素晴らしいが、特にこの作品のメロディ「遥かなる山の呼び声」は、群を抜いて素晴らしい。ビクター・フレミングの歴史的名曲だ。哀切でいて、希望が膨らむ、その旋律は、何回聞いても胸が熱くなる。私が中学の時、この映画に感動した放送研究会の友達が、給食の時間の時に必ずこの音楽を放送してくれたことが、今でも鮮烈に記憶にある。この映画が素晴らしいのは、アラン・ラッドとジャック・パランスの決闘場面のみならず、西部開拓民たちの暮らしと彼らの開拓精神を人間ドラマとして、きちんと描いていることだ。単なる決闘を主眼に据えた西部劇とは、一線を画している。シェーンと少年との友情、少年の母親へのほのかな慕情など、きめ細かい人間模様が美しい映像の中で節度をもって描かれているのだ。監督のジョージ・スティーブンスは、何気ない場面にまで繊細な演出を施しており、胸をうつ映画となっている。当時少年だった私は、ジャック・パランスに撃ち殺された少年の父親の友人の葬儀の場面で、飼い主を失ってくうんくんと棺にすがる犬の姿に涙した思い出がある。シェーンを演じたアラン・ラッドはこの作品が一世一代の当たり役となり、60年以上たった今でも銀幕の歴史に燦然と輝いている。廉価版のDVDしかないのが不思議な名画。西部劇史上に残る名作!