エンタメ狂いが移るブログ

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 アメリカンニューシネマの時代に生まれた西部劇の大傑作である。そして、監督のジョージ・ロイ・ヒルとサンダンス・キッドを演じたロバート・レッドフォードを一躍スターダムにした作品でもある。モダンで哀感がありながらも、お洒落なセンスにあふれた映画である。オープニングにモノクロセピアカラーの無声映画の西部劇「大列車強盗」が上映され、その中でこの映画の主人公のブッチ・キャシディとサンダンス・キッドらしき強盗たちが登場し、観客をいきなりクラッシックな世界へいざない、ワクワクした期待感を膨らませてくれる。そしてそれにオーバーラップするようにポール・ニューマン演じるブッチ・キャシディが登場し、ストーリーが動きだす。列車強盗、銀行強盗とブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの悪行が時にはコミカルに時には牧歌的に描かれており、ジョージ・ロイヒルの西部劇への愛情がたっぷり感じられる見事な演出が光る。西部劇としての味わいも素晴らしいが、名曲「雨にぬれても」にのってポール・ニューマンキャサリン・ロスが自転車で疾走する場面など情感豊かな映像が美しく切ないメロディにのって次々と展開され、どの場面も忘れがたい名場面となっている。キャサリン・ロスは、この映画と「卒業」に出演したことにより、アメリカンニューシネマを代表する女優となった。しかし何と言っても、ロバート・レッドフォードだろう。彼以外、このサンダンス・キッドは考えられないくらいの、はまり役で、強烈な印象を残した。それまで、どちらかと言えば、うれいのある二枚位目俳優だったレッドフォードが、この映画により見違えるような野性味ある魅力的な存在として輝くことになる。その後も「追憶」「スティング」と立て続けに代表作に出演し、さらには、「普通の人々」で監督してオスカーの栄冠を獲得するなど、アメリカを代表する大スターになった。レッドフォードは、このサンダンス・キッドという役を生涯に渡り愛し、今でも彼の代表作は、この映画だと思う。ポール・ニューマンは、アカデミー賞候補に7回もノミネートされるほどの名優だが、私としては、この作品のポール・ニューマンが一番好きだ。レッドフォードと演技の掛け合いをすることによって、二人の魅力が三倍にも増しており、ジョージ・ロイヒルとは、この後、再び「スティング」でトリオを組み、この映画も傑作となった。ラストシーンの二人が拳銃をもって軍隊に向かっていくストップモーションは、秀逸のカットで、日本語のタイトルが象徴する明日への希望と絶望を絶妙に描いていた。