映画狂いが移るブログ 中井貴一「アゲイン」
中井貴一の「アゲイン」は、28年前に不幸な事件で甲子園に出場できなかった球児たちが、自分の人生回復を目指して、マスターズ甲子園に挑戦していく映画だ。重松清の得意とする父権回復をテーマとした小説を下敷きに、人間描写が素直なタッチで描かれており、さわやかな好感をもつ映画となっている。中井貴一、柳葉敏郎の二人がかつてのチームメイトとして、其々の自分たちの人生を回帰させようと、野球を再び始めるその姿は、アメリカ映画「フィルド・オブ・ドリームズ」のケビン・コスナーを思い出させてくれ、野球愛がたっぷりと感じられる。二人の脇を固める共演の村木仁、和久井映見、波瑠、門脇麦の好演も忘れがたい。心があったくなる。ラストシーンの中井貴一と波瑠のキャッチボールの姿が、この映画の良心を象徴していた。あたたかな詩情がある映画だ。良心作！
