エンタメ狂いが移るブログ

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芝居狂いが移るブログ 宮藤官九郎・麻生久美子「結びの庭」(下北沢本多劇場)

岩松了 作・演出のミステリータッチの芝居である。芝居全体を包む不穏な緊張感が最後まで継続し、2時間15分を一気に見せる。

 

ここでの注目は、従来の芝居ではあまり見られないシリアスな宮藤官九郎の存在だ。どちらかと言うと、「笑い」に走りがちな演技を今回は抑制して、新鮮な宮藤を見れた気がした。殺人者かもしれない妻を愛するあまり、殺人にまで手を染めてしまう有能な弁護士の内面が崩壊してく様を、巧みに演じていた。脇を固める安藤玉恵、大賀の好演も、いい意味で芝居に不思議な世界観を構築した。「シダの群れ」では人間の内面に潜在する暴力性を演出した岩松了が、今回は、その対極とも言える「静謐」な芝居を演出、まるで、ベルイマンの映画を見ているような気持にさせられた。芝居の最後の不思議な余韻が印象的だ。f:id:obaq28:20150320133012j:plain