ドラマ狂いと芝居狂いが移るブログ ケラリーノ・サンドロヴィッチ「怪奇恋愛作戦」
ケラリーノ・サンドロヴィッチは、私が、近年最も敬愛する舞台の演出家である。ケラ氏の芝居は、彼の奥行がありながらも的確な演出手法に、いつも感動させられる。特に、「わが闇」は、見終わった後、しばらく席から立てない程の衝撃を覚えた記憶がある。そのケラ氏が演出したテレビドラマがテレビ東京金曜深夜に放送されている「怪奇恋愛作戦」である。シリアスな舞台からおぽんちなコメディまで演出フィールドの幅広いケラ氏の芝居の中で、このドラマは、ある意味、おぽんち路線を究めて行こうというものだ。主演に麻生久美子、坂井真紀、緒川たまきのケラの舞台の出演経験女優を据え、仲村トオル、大倉孝二、犬山犬子、かもめんたーる、などナイロン１００℃の芝居の常連出演者たちも華を添え、芝居好きにはたまらないドラマとなっている。赤堀雅秋のような普段あまりテレビで見かけない俳優まで登場し、バカバカしいことを懸命にやってくれてるのが、とても嬉しい。特に麻生久美子が赤堀扮する怪人にヘリコプターで誘拐される場面など、５０年以上前の「月光仮面」の特撮を見ているようなレトロな演出で、敢えて低予算でも面白い作品が出来るという姿勢がうかがえ、作り手の心意気が伝わる。麻生久美子、坂井真紀、緒川たまきの三人はアンサンブルも良く、全員好演でドラマを盛り上げている。このあと、まだドラマに出演してない、ナイロンの役者たちも見れるのだろうか、それも期待大。またまもなく、劇場で、ケラ氏の「三人姉妹」が見られるがこれも楽しみだ。小劇場のファンには、是非DVDの購入をお勧めします！
