エンタメ狂いが移るブログ

このブログを読めば、映画、演劇、漫画、小説などなどエンターテインメントに強い興味がもてます!

映画狂いが移るブログ 「いちご白書」

 

いちご白書 (角川文庫)

いちご白書 (角川文庫)

 

 この映画の初見は今は亡き渋谷の全線座で、「真夜中のカウボーイ」との2本立てで見た記憶がある。今、考えると、当時若者に圧倒的に支持されていたアメリカンニューシネマの代表作を2本という豪華なラインアップだった。傷だらけのフィルムでの上映だったにも拘わらず、2作品が描くアメリカの若者たちの孤独と現実に、生々しい衝撃を受けた記憶がある。特に「いちご白書」は、学生運動を遂に体験しなかったノンポリ世代の私にとって、ある意味「夢」の追体験であり、かなり私の心に影響を残した。自分が大学生になったら、映画のようなキャンパス生活という現実があり、キム・ダービーのような女の子と恋をして、学生運動にも何となく参加して・・という夢想が、この映画を見たことによって、私の心の奥底に生じたのである。この映画の監督のスチュアート・ハグマンはこの1作が代表作で、これを超える作品をついに作りだせなかったし、主演のブルース・デーヴィソン、キム・ダービーも何本かの映画には出演したが、やはりこの作品が事実上の代表作だ。確かカンヌ映画祭で受賞をしているはずだ。どういう理由かわからないが、DVDも現存せずの幻の作品になりつつある。色々な意味で、あの時代だからこそ制作出来たアメリカ映画だったのだと思う。衝撃的なラストシーンとは対照的に、明るくポップなテーマソング「サークルゲーム」がいつまでも忘れられない。